四国旅行2日目.今日は高知から愛媛を経由し、高松まで行く予定.
1日目で結構充実した建築探訪ができたので、これからはほとんどが移動しながらの町探訪になる.
昨日はベッドの上で着の身着のまま爆睡だった.今日の朝は、改めて隈研吾氏の「まちの駅 ゆすはら」を見る.
再度外観を見ると、なんとももっさりとした、素材感たっぷりのデザイン.壁面に茅葺きというインパクトと、それを納めるために金物を多くしようしている.これって負けてない建築ような気がするが.地域にとけ込み、かつインパクトのある建物としては正解な気がするが、マテリアル至高主義というか、一般受けしなそうなメタファな部分を追求したせいか、本末転倒ではないかと思う.
外観とは違い、内部は比較的好印象.渋皮の丸太柱が3層吹き抜けを突き抜けて自立する様はとても豪快たが、柱サイズや視野全体の中にある素材感のバランスはとても繊細な印象.相反する要素の共存がこの空間の魅力.
ただしここでもそれらを納めるための金物を隠しきれていないのが残念.しっかりと隠しきるか、もしくはいっそのこと見せるディテールにしてほしかった.不完全燃焼な部分が見え隠れする.
徒歩5分.次に檮原町の町役場.こちらも隈氏.これでも築10年くらいは立っているはず.うにゃ、奇麗.
ぱっと見のデザインは「まちの駅」と同じだが、コンテクストは大分ちがう(はず).デザインをとっても、素材をとっても、構造をとっても、ディテールととっても、そのすべてが明快.面白みにはかけるが、潔い感じがスマートなイメージを持たせ、役場という性質を表現している.
それにしてもとても立派な構造体.環境面にも配慮しているといった表記がみられたが、いまいちわからない.意匠・構造・環境がうまく一体化できていないことが残念かなと.まっ、好みの問題.
町役場の向かいには、歴史感じる建物.木造の芝居小屋、ゆすはら座.
シンメトリーな佇まいは集会所としてのわかりやすい特徴をもっている.しかしその端正な外部とは違い、内部はなんとも色気のある空間.どっかの森田氏の"グラマラス"よりも、こちらの方がよっぽどセクシーで自然な空間と思う.
立て続けに建築探訪.同行している妻はすこしバテ気味.けど私は歩みを止めずに次の建物へ.
檮原町直営のホテル.こちらも隈研吾氏の作品.15年くらい前(だったかな)の作品で、檮原町最初の隈作品.一部ダイナミックなデザインをみられることで、当時の建築の流れを垣間みることができる.このころは負ける気はなかったみたい.
檮原最後の建築は、隈氏の檮原最近作.先ほどの宇宙船と少し離れた温泉施設をつなぐ、渡り兼ギャラリー.素材と構造が明快に表現されており、また木材の小口防腐剤であろう白塗装がコントラストを引き立たせ、全体を引き締めている.そして、中に浮いたような、持ち出しのデザインが、先ほどの宇宙船を意識させるとともに、細かな材を反復させた繊細な一体構造を強調している.この深い考えに打ち出されるわかりやすさが隈建築の真骨頂だと思う.それにしてもすげー持ち出し.
エントランスと本館との渡り廊下と木材小口面のアップ.
内部.部分的に外部組木を意識した小屋組になっている.
ここからは車をひたすら走らせ、途中カルストの見学にも後ろ髪を引かれながらも、愛媛・松山へ.
目的は「坂の上の雲ミュージアム」「道後温泉」「伊丹十三記念館」
3時間ぐらいで到着、安藤忠雄作品の「坂の上の雲ミュージアム」.
...が何だか様子がおかしい.平日とはいえ、人が見当たらない.
...ぎゃー!!閉館日だぁ.
...早々に次に向かう.
次に道後温泉.このあたりになるとさすがの私も疲れがピーク.妻はイライラしだす.少し不穏な空気を感じたので、建築探訪は休憩.温泉には入らなかったが、太刀魚巻きを食べたり、からくり時計をみたり.普通に観光.
松山最後は伊丹十三記念館.設計は中村好文氏.外観は焼き杉の板張り外壁と長方形の平面と寄せ棟屋根のシンプルな形状.普通ここまで黒いと違和感を覚えるが、焼き杉と建物のスケールの効果か、そこまで嫌な感じは受けない.このあたりの表現のうまさは、住宅を得意とする中村氏ならではといったところか.伊丹さんの愛車、かっこいい.
内部は中庭を中心とし、回廊型に展示室ほか諸室がならんでいる.細かな納まりは決して奇麗ではないが、家族愛をテーマにすることが多かった伊丹氏の考えが、建物スケールと生活空間としては気持ちの良さそうな中庭とリンクし、非常によくまとまった建物となっている.こんな展示空間もありなのかと、少し意外だった.
ここからはひたすら運転.貧乏旅行なので当然下道.通りがけに谷尻さんのカフェや、鈴木了二さんの金比羅なんかが見たかったが、暗くて断念.高松までまっすぐ.本日の宿につくなり、あっという間に就寝.怒濤の二日目だった.
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