2008/08/05

長谷川豪氏の講演会

"物を造るためにウンチクを語るのではなく、
人を動かすためにウンチクを語る."
というキーワードから始まった講演会.今回のレクチャラーは長谷川豪氏.

前述した言葉が表しているように、その場所がそうなるべきストーリーを明快に組み立てて、設計している印象を受けた.特に難しい言葉を羅列せず、誰もが分かる言葉で状況を読み解いていく.その姿勢は、素人であろうお施主さんからすると好感を持てるだろうし、考えを理解されやすいだろう.一言で言えば説明上手.それは実作を造っていく上でとても大事.
ただそのストーリーの中で一カ所だけ飛ぶ部分が存在する.それが作品の中に長谷川氏らしさを表している.それは「身体と外部環境との関係性」である.「身体との関係性」なんて言葉を持ち出すと空間論を語るのかと思われそうだが、そうではなく、内部環境を飛び出した外部環境と身体を直接繋げるのだ.その考え方は過去に話を聞いた保坂猛氏に類似しており、また比較的年代の若い世代に多い傾向なのかもしれない.
「身体と外部環境との関係性」を解き、どのように表現するかが作家性の現れるところで、長谷川さんの場合は、内部から外部にアプローチするように考えていき、スケールとプロポーションによってそれらを表現する.それに純粋に特化するように、設計方法はひたすら模型スタディらしい.例えばとあるプロジェクトでは1200におよぶ模型を作成.その模型は質感や素材はなく、スチレンボートの白のみだが、洗濯物から備品にいたるまで細やかに造られている.

"人は、心の内部に構成されるイメージや内的表象によって、周囲の環境や社会や自己を認識している。例えば、事物を認識するということは、五感からの刺激と自分が作った内的表象とを照り合わせることである。"とは認知心理学における「人と外部環境との関係」の考え方である.今回の長谷川さんの話はそれに近い考えである印象を受けた.人が住宅外部の環境をどう認識するのか、それは身体のおかれている状況によって決定されるということ、そしてそれを設計するというスタンスである.

長谷川氏の淡々と語る口調とは裏腹に、とても建築に対し熱意をもっていることが感じられた講演会でした.

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