3/19〜24に5連休をいただき、実家の秋田へ帰省の旅.そのついでにいくつか建物探訪.
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【ねむの木子ども美術館】
言わずと知れた藤森センセイの共同作品.事前に場所を調べて行ったものの、実際は掛川の山奥.部分的に一車線ぐらいの道路がありつつ、そこに対向車がきつつ、なんとか到着.
別名「どんぐり館」と呼ばれてるだけあって、真っ先に目に飛び込むのは大きなボリュームの屋根.しかし威圧的な印象はけっして受けない.その場所の土着性を引き出す事が上手な証拠か.
そのどんぐり屋根の仕上げは何かは(知識のない)私には分からずじまい.多分銅板かな?遠景からのイメージとは違い、近寄ってみるとその泥臭いデザインとは違い、細かな部分にまで気をつかったディテールをしている.
壁面はしっくい.実務の中でも実感するが、"白"は自然色でもなく人工色でもなく.その質感や微妙な表現の差を如実に表してくれる(もしくは現れてしまう).その点、この美術館のしっくい"白"は、周囲にはない色相ながらも、自然色として周囲になじんでいた.
それにしてもこの壁面の花の絵がかわいい.聞くところによると、子どもたちが描いた絵だとか.
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【ねむの木子ども美術館(旧)】
続いてドングリ館の更に奥にある旧美術館へ.
こちらはただ今休館中で内部見学できず.屋根の構造は、一時期坂氏がよくやっていた紙によるハニカム構造.特にコメントなし.
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【紙の美術館】
焼津でマグロとカツオを食べた後、場所を移動し、三島にある特種製紙株式会社所有の紙の美術館へ.
坂氏の作品.プロフィリットで周囲を覆われたガラスの箱.正面中央は、こちらも別の作品でやったガラスのシャッター.他にもいろいろな部分が可動になっているそうだが、この日は雨のため見せてもらえず.
内部は中央にアトリウムがあり、3層+1の室がその両側にある構成.その明快なゾーニングによって、透明感をより演出している
中央の上部はテントになっており、特に照明はなし.明るさは確保出来ていたが、雨天のこの日は雨音の五月蝿さが結構気になった.
で、展示室.
主要目的は建物を見ることだったが、それ以上に展示内容に目を奪われた.正直特種製紙という会社自体知らなかったが、意外と身の回りの多くがここの会社で作られた紙.そのひとつひとつを紹介するのは難しいが、代表的な例は書籍の表紙かな.
紙の持つ機能性と質感、可能性について、いろいろ勉強をさせてもらった.
ちなみにガラスシャッターはこんな納まりになっています.
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【神奈川工科大学KAIT工房】
最後に神奈川県厚木へと行き、閉館間際のKAIT工房へ.
竣工して以来、雑誌やネットで話題.その設計者である石上さんも、最近の話題の人.
ネットや新建築で写真を見たが、どうもその透明性や身体間隔がつかめず、実際に見てみたいと思い、大学にお願いし見学.
外周は透明ガラス、内部は間仕切り一つなく、柱だけ.その柱も、鉛直荷重を受け持つ80角ぐらいのコラムと、水平荷重と偏芯バランスを受け持つフラットバーのみという、徹底.しかも施設の方の話では、そのフラットバーは200本近くあるが、ひとつとして同じ角度はないらしい.スゴい.
家具や植栽も設計者の意図がこもっている.が、ちょっとチープ.
設備とかどうしているのかと思い周囲を探すと、発見.通路挟んで別の場所に表しでおいている.なお施設への引き込みはすべて地中.
外部形態のミニマルを強調しているのは、この床納まり.外壁(ガラスと笠木)部分をベタ基礎から浮かせて持ち出す事により、建物全体の質量感を軽減している.
で、写真でみるとキレイなことはキレイなのだが、実際にはよくも悪くも物質感が満ちあふれていた.しかもうっとおしいくらい.あの柱が各ゾーンでの人の停滞をアフォードするかと思いきや、特になにも感じず.
…けど夏は暑いし、直射日光ガンガンだろうな.局所的にしかスクリーンは設置していなかったし.あと屋根は方流れなのだが、当日の雨のなか、水下側のガラススクリーンは滝状態.床スラブにも少し水が染みてた.こういった作品に求めるのは違うのかも知れないが.(施設の方に問題点について聞いたところ、やはり同感の様子.クレームを上げ、対応してもらう意向とのこと.)
問題点は分かりやすいくらい多く存在したが、デザインの極論としてのチャレンジや努力も、分かりやすいほどに感じることが出来、自分自身の刺激になった.もし見学を予定されている方がいたら、施設の方がいろいろやっちゃう前に早めに見学することをおすすめします.
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